コンクリートジャングルに森を育む
― 森ビルの街づくりを「思想」から読み解く ―

森ビルの1月〆切ESを書こうとして、「企業の想いはわかるが、自分とどうつなげればいいかわからない」そう感じたことはないだろうか。企業サイトを読めば、街づくりへの思想や熱量は伝わってくる。それでもESで問われているのは、共感したかどうかではない。その価値観を、自分の判断軸として理解できているかである。本記事では、森ビルの街づくり事例を通じて、志望動機につながる“価値観の読み取り方”を整理する。
アラタ 2025.12.16
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「森ビルの想いの中で、あなたが大切にしている価値観と共通するものは何ですか」

上記は、1月〆切の森ビルのES設問である。
多くの就活生がこの設問で手が止まってしまう。原因はおそらく同じ。

多くの就活生がこの設問で手が止まってしまう。原因はおそらく同じ。

森ビルの思想は“正しすぎて”、どこを自分の言葉にすればいいのかわからない。

「都市を創り、都市を育む」 「人と都市の関係を再定義する」どれも共感できる。 だが、それをそのまま書いても評価されないことも、何となく感じている。

どれも共感できる。 だが、それをそのまま書いても評価されないことも、何となく感じている。

実はこの問い、 「理念を理解したか」を見ているのではない。

理念が、現実の街でどう“形”になっているかを理解し、 そこに自分の価値観をどう接続するかを見ている。

その象徴的な答えが、森ビルの「緑のつくり方」にある。

なぜ森ビルは、ここまで「緑」にこだわるのか

オフィス街の真ん中で、カエルや野鳥に出会える。 そう聞くと、少し誇張に聞こえるかもしれない。

しかし東京・六本木の アークヒルズ仙石山森タワー では、それが日常である。

超高層ビルの足元に広がるのは、 単なる植栽ではない。

在来種の木々、下草、池。 落ち葉は掃き清められず、堆肥として循環し、 枯れ木すら「生態系の一部」として残されている。

森ビルはここで、 かつて東京に存在していた“森の構造そのもの”を、都市の中に再現しようとした。

結果として、 野鳥、昆虫、カエル、トカゲといった生き物が定着し、 都心とは思えない生態系が成立している。

重要なのは、これが 「余裕があったからできた演出」ではないという点である。

***

「自然を残す」ではなく「都市を育てる」という発想

森ビルは、この緑地を ビルの付属物として扱っていない。

毎年初夏には、地域の子どもたちを招いた 「エコっとプロジェクト」 を実施し、 生き物探しや自然体験の場として開放している。

ここで行われているのは、 CSRでも、単なる環境教育でもない。

都市の中で、人と自然が関わり続ける“関係性”を設計している という点が本質である。

森ビルの街づくりは、 建物を完成させることをゴールにしていない。

都市は、完成させるものではなく、育て続けるもの

この思想が、街の細部にまで染み込んでいる。

***

点ではなく「線」で緑を捉える街づくり

森ビルの特徴は、 一つの敷地、一つのビルで話が終わらない点にある。

六本木ヒルズ、アークヒルズ、虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズ。 それぞれの再開発エリアには、必ず緑地と水辺が組み込まれている。

そしてそれらは、

  • 皇居

  • 赤坂御所

  • 芝公園

といった周辺の大規模緑地とつながり、 都市全体で一つの生態系ネットワークを形成している。

調査では、 東京都の絶滅危惧種である蝶「アカシジミ」を含む 約180種類の昆虫が、 森ビルの開発エリア間を行き来していることが確認された。

超高層ビル群の谷間に、 生き物たちの“見えない回廊” が存在している。

これは偶然ではない。

***

緑は「コスト」ではなく「都市価値のインフラ」

このネットワークが生む価値は、生態系にとどまらない。

真夏の六本木では、 緑豊かな六本木ヒルズと、 アスファルトに囲まれた交差点とで、 気温に5〜10度の差 が生じるという。

ヒートアイランド現象を緩和し、 街の快適性を高め、 結果として「人が集まり続ける街」になる。

森ビルが掲げる 「都市を創り、都市を育む」 という理念は、 スローガンではない。

1986年のアークヒルズ竣工以来、 森ビルが都心で創出してきた緑地は 約12ヘクタール。

もはや 「森をつくる不動産会社」 という表現は、比喩ではない。

***

世界の潮流と、森ビルの現在地

この姿勢は、世界的な流れとも一致している。

SDGs、30by30、TNFD。 企業には「自然に与える影響」を開示し、 持続可能な形で事業を行うことが求められる時代になった。

森ビルはTNFDに沿った情報開示を行い、 都市開発が “自然ポジティブ” であることを示している。

つまり、

  • 自然を壊さない ではなく

  • 自然を再生しながら都市価値を高める

という立場を、明確に取っている。

***

ここから先では、

  • 森ビルの街づくりに通底する「価値観」を言語化し

  • ESで問われている“本当の意図”を分解し

  • 志望動機に落とす際の「ズレやすいポイント」

  • 評価される学生が必ずやっている解釈の仕方

まで踏み込む。

***

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